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iPod ノートリーダーユーザガイド

2003 年 4 月 25 日
日本語翻訳著作権者:Kenichi Maehashi
オリジナル著作権者:Apple Computer, Inc.
iPod ソフトウエア 2.0 は iPod の Notes フォルダに入っているテキストファイルを表示する
ノートリーダー機能を含む、素晴らしい新機能をあなたの iPod にもたらします。
ノートリーダーはまた、Notes フォルダーに入っているフォルダをも階層的に表示するので、
あなたのノートをまとめて、整理することができます。
一つのノートファイルのサイズは 4 キロバイトに制限されており、それを越える分は表示されません。
ノートリーダーは 1000 個までのノートをサポートしますが、もし 1000 以上のノートが
Notes フォルダに入っていた場合には、最初の 1000 個だけが読み込まれます。
ノートはキャッシュされます。ノートがキャッシュに読み込まれると、iPod のハードディスクを
回転させることなくノートを表示することができます。一度に 64 キロバイトまでのノートが
キャッシュに読み込めます。

タグ

ノートリーダはいくつかの基本的な HTML タグをサポートしています。
これらのタグは大文字・小文字を区別しません。
強制的に改行を行うには、<BR> または <P> と </P> タグを利用します。
デフォルトでは、タイトルタグで名前を決定していない限り、ノートはファイル名を使ってリスト表示されます。
<TITLE>新規タイトル</TITLE>
これは、以下で述べる .link ファイルを使うときに大変便利です。また、このタグは以下で述べる
初期設定ファイルでも使用することができます。
<INSTRUCTIONS> タグは少し変わっていて、ノートの内容全てをノートリーダの使い方に関する短いテキストに変え、
さらにファイルの名前を「Instructions」としてリストします。これはどちらも現在の言語によって表示さ れます。

ファイルへのリンク

ノートは他のノートへリンクすることができます。リンクはこのようものです:
<A HREF="ノートファイル">他のノートへリンク</A>
リンクは iPod で表示される時にアンダーラインで表示されます。「選択」ボタンを押すことで、リンクをたどることが
できます。もしも一度に複数のリンクがあるときには、一つだけがアンダーライン表示になり、スクロールホイールを
使って複数のリンクの間を移動します。
リンクでは、ファイルを絶対参照または相対参照のいずれかで指定します。絶対参照は Notes フォルダから始まります。
相対参照の時には、そのオリジナルのノートが入っているフォルダが起点となります。
絶対参照リンクはこのようものです:
<A HREF="file:///ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="file:///フォルダ/ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="/ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="/フォルダ/ノートファイル">他のノートへリンク</A>
相対参照リンクはこのようものです:
<A HREF="file://ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="file://フォルダ/ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="ノートファイル">他のノートへリンク</A>
<A HREF="フォルダ/ノートファイル">他のノートへリンク</A>
フォルダもリンクの宛先にすることができます。
Notes フォルダのトップレベルはリンクの宛先にはできません。
Notes フォルダの外にあるファイルもリンクの宛先にはできません。
リンクは以下で述べる .link ファイルを参照することはできません。
リンク中のファイル名は大文字・小文字を区別しません。
リンクは、その宛先が確実に存在していることを確実にするためにチェックされます。デッドリンクは
以下で述べる <ERRORS> タグにリストされます。

.Link ファイル

ファイル名が .link で終わっており、なおかつそのファイルがリンクを含んでいる場合、ユーザが .link ファイルを
選択すると、そのファイルはすぐにそのリンクの宛先をたどります。
実例としては、ファイル1.link というファイルが以下のテキストを含んでいた時:
<A HREF="ファイル2">リンク</A>
ユーザが ファイル1.link を選択すると、ファイル2 が表示され、ファイル1.link の内容は表示されません。

.Linx ファイル

ファイル名が .linx で終わっている時、それはあたかもそれが .link ファイル(一つのリンクにつきひとつの .link ファイル)
を含むフォルダであるかのように表示されます。
フォルダにある普通のアイテムは、アルファベットの並びでソートされます。.linx ファイルにリストされたリンクは .linx
ファイルに現れる順番でリストされ、アルファベット順にはなりません。
もしも Main.linx というファイルが Notes フォルダのトップレベルにあるとき、実際の Notes フォルダの内容に代わって、
それがノートリーダーのメイン画面のように表示されます。もし Main.linx ファイルが <TITLE> タグを含んでいれば、
それは初期設定ファイルの <TITLE> タグよりも(もしある場合)優先されます。

パスのデリミタ

訳注:「デリミタ」とは「区切り文字」のこ とです。
他のフォルダにあるファイルにリンクする時には、パスのフォルダとファイルの名前は以下の例のように、
スラッシュ“/”、バックスラッシュ“”、コロン“:”のいずれかで区切らなければなりません。
フォルダ/ファイル
フォルダファイル
フォルダ:ファイル
これらの三つのパスのデリミタは全て同じ意味です。
これら三つのデリミタが FAT ファイル名としては正しくなく、またコロンは HFS+ ファイル名としては
正しくないことに気を付けてください。
フォルダ自身がこれらの特別な文字を含んでいた場合、バックスラッシュで回避しなければなりません。
例:「ミーティング 02/10/12」というファイルへのリンクは、以下のように表します:
<A HREF="ミーティング 02/10/12">他のノートへリンク</A>
もし、ファイルまたはフォルダの名前の最初または最後の文字がスラッシュまたはバックスラッシュの時、
回避を行ってもどれがファイルやフォルダの名前の一部で、どれがパスの区切り文字であるかが不明確になります。
このような場合、コロンを区切り文字として使用してください。
例えば、「フォルダ」というフォルダへのリンクは以下のように表します:
<A HREF="フォルダ:ノートファイル">他のノートへリンク</A>
起点のフォルダよりも上位のフォルダを指定することはできません。サブフォルダの中から外のフォルダへ
リンクしたい時には、絶対参照を利用してください。
パス名は全体で 255 文字以内でなければなりません。より正確に言えば、255 UTF8 ユニコードバイトと
510 UTF16 ユニコードバイト以内でなければなりません。一部の文字は 1 UTF8 バイトまたは 2 UTF16 バイト分
以上に大きくなることがあるので、一部のパスは適合しているように見えても適合していないことがあります。
詳しくは、ユニコードの定義書をご覧下さい。
パス名全体が長いファイルはロードされず、エラーとしても報告されません。これはアドレス帳やカレンダーなどの
他の iPod アプリケーションにも当てはまりますので、注意してください。

曲へのリンク

曲へのリンクは、ほかのリンクと同様です:
<A HREF="song=My Way">My Way へリンク</A>
このリンク形式では、ユーザは My Way という名前の曲が複数あった場合、ユーザは選択できません。
もっと細かくコントロールするには、以下に規定されるようなフィルタを使うことが出来ます:
<A HREF="ipod:music?playlist=Road Music">Roadie にリンク</A>
<A HREF="ipod:music?genre=triphop">ジャンルにリンク</A>
<A HREF="ipod:music?artist=Todd Rundgren">FZ にリンク</A>
<A HREF="ipod:music?composer=Beethoven">Beethoven にリンク</A>
<A HREF="ipod:music?album=The Wall">Pink にリンク</A>
<A HREF="ipod:music?song=Althea">Althea にリンク</A>
フィルタは、フィルタにマッチする曲を集めた一時的なプレイリストを作るために、いくつか併用することが出来ます。
<A HREF="ipod:music?genre=rock&artist=Brian Eno">コンボ</A>
標準では、ユーザが曲のリンクを選択すると再生中画面が表示されます。この設定は、初期設定によって全てのノート、
または一つのノートに対して指定できます。以下の初期設定のセクションをご覧ください。
訳注:「再生中」画面=「Now Playing」画面です。
一つのリンクに対するこの設定については、Now Playing タグによって回避できます。
<A HREF="ipod:music?song=Althea&NowPlaying=false">Althea にリンク</A>
プレイリストが選択されたとき、ほかに使うことの出来るフィルタはsongのみです。また、各フィルタのタイプに対 して、
一つだけの条件が設定できます。
マッチングは全て大文字と小文字を区別しませんが、その他は正しくマッチしなければなりません。ワイルドカードの文 字は
サポートされていません。
リンクは形式的なエラーを検出するためにチェックされますが、曲が実際に存在するかどうかの妥当性についてはチェッ クされません。
エラーは <ERRORS> タグにリストされます。下で述べる初期設定およびエラータグに関するセクションをご覧ください。

エンコーディング

標準では、全てのノートが Latin1 でエンコードされているとみなされますが、iPod の言語が日本語、韓国語、繁体字中国語、
簡易体中国語に設定されている場合、全てのノートはそのエンコードであるとみなされます。
ノートファイルは違うエンコードを持っているようにタグすることも出来ます。下の例を見てください。
<?xml encoding="MacJapanese"?>
以下のエンコードが利用できます:Latin1、MacRoman、MacJapanese、Korean、 simplified
Chinese、traditional Chinese、UTF8 Unicode および UTF16 Unicode。
以下のエンコード名が利用できます。
Latin1 では: iso-8859-1、Latin-1。
MacRoman では: x-Mac-Roman、Mac、Macintosh。
MacJapanese では: x-Mac-Japanese、Mac-Japanese、MacJapanese、Shift-JIS、Shift_JIS。
traditional Chinese では: x-Mac-Chinesetrad、Mac-Chinesetrad、BIG5、CN-BIG5。
simplified Chinese では: x-Mac-Chinesesimp、Mac-Chinesesimp、EUC-CN。
Korean では: x-Mac-Korean、Mac-Korean、EUC-KR。
UTF8 Unicode では: UTF8、UTF-8。
UTF16 Unicode では: UTF16、UTF-16、UCS2、Unicode。
(それぞれの行は同じエンコーディングに対する複数の名前を示しているのであり、エンコードを区切るのではありませ ん。)

いくつかのエンコーディングは完璧に同じであるというわけではありませんが、それらは そうであるかのように扱われます;
例えば、EUC-CN は simplified Chinese とまったく同じというわけではありませんが、iPod では simplified Chinese と同じで
あると読みかえられます。これはほとんど全ての文字について働きます。
UTF8 および UTF16 ユニコードはバイトオーダーマークとしても定義できます。バイトがスワップされた (リトルエンディアンの)
UTF16 ファイルは
サポートされていますが、BOM によってのみであり、エンコーディングタグによってではありません。
訳注:「バイトオーダーマーク」= 「Byte Order Mark」、「BOM」です。
テキストエディットは UTF16 ファイルを保存するときに BOM を追加しますが、UTF8 ファイルのときはしないということに
気をつけてください。
訳注:「テキストエディット」=Mac OS X に付属の TextEdit アプリケーション
BBEdit 7.0.3 は BOM を持っているかどうかのファイルエンコーディングを表示し、また BOM を含めてまたは含めないで保存する
オプションも持っています。
複数のエンコーディングを同じノートで表示するただ一つの手段は、ユニコードを使うことです。
もしエンコーディングタグと BOM が一致しなかった場合、エンコーディングタグが BOM よりも優先されます。エンコーディング
タグは大文字と小文字を区別しません。
エンコーディングタグはファイルの最初に、どのような ASCII でないテキストよりも前に置かなければなりません。そうでなければ、
ASCII でない無効な文字が、構文解析プログラムがエンコーディングタグを取得することを妨げてしまいます。一つのファイルにつき
一つのエンコーディングタグが許可されます。
Latin1、MacRoman、UTF8 のように、無効な文字を管理文字とするエンコード中に無効な文字を記載しないで下さい。
その他のエンコードでは無効な文字の場所で切り取られます。

初期設定

グローバルな初期設定は Notes フォルダのトップレベルにある Preferences という名前のファイル中に定義する事が出来ます。
初期設定は XML 形式で書かれます。
ローカルな初期設定は、そのノートに対する同じグローバルな全ての初期設定を優先するファイルの中に
XML 初期設定タグを含む事によって、全てのノートファイルに対して定義する事が出来ます。
もし、一つのノート中に、同じ初期設定に対して複数のタグが見つかった場合には、最後に解析された初期設定が
全体の初期設定として使用されます。
全てのノートに対する初期設定は、<SHOWPREFERENCES> タグを使用して表示出来ます。もしローカルな初期設定が
グローバルな初期設定よりも優先された場合には、ローカルの値が表示されますが、それ以外の場合には、グローバルな
値が表示されます。
初期設定はこれらの XML の言葉で設定されます:
<meta name="LineWrap" content="true">
<meta name="ShowBodyOnly" content="true">
<meta name="HideAllTags" content="true">
<meta name="NowPlaying" content="true">
<meta name="NotesOnly" content="true">
一つまたはいくつかの初期設定が一度に設定出来ますが、全てを定義する必要はありません。初期設定の値へは
「true」または「false」のみが設定出来ます。全ての初期設定は、省略時に true と設定されている NowPlaying を
除き、全て省略時に false に設定されています。
もし LineWrap が false ならば、ノート中の LF と CR が利用されます。Mac、PC、Unix 形式の改行は同等に扱われます。
もし LineWrap が true に設定されているならば、LF と CR が無視され、<P> と <BR> だけが新しい行を作成します。
ShowBodyOnly は、もしある場合、ノートの一部の <BODY> </BODY> タグの中のみが表示されます。<BODY> タグが
無い場合には、ノートの全てが表示されます。
HideAllTags はノートを表示する前に、認識できないタグを含む <> スタイルのタグを取り除きます。
NowPlaying は曲へのリンクを選択した時に「再生中」画面が表示されるかどうかをコントロールします。
NotesOnly、ミュージアム・モードとも呼ばれます、は iPod のノートリーダ画面をブートして、ユーザが
ノートリーダから戻る事を制限します。これにより、カスタム、または制限されたユーザインターフェースを
作成する事が出来ます。NotesOnly は、それぞれのノートファイルではなく、グローバル初期設定に設定します。
ノートリーダのメイン画面のタイトルはグローバル初期設定に <TITLE> タグを定義する事で設定出来ます。
全てのタグ同様に、初期設定は大文字と小文字を区別しません。

エラー

手動であなたのノートファイルを検証する時間を節約するため、ノートリーダは自動的にそれぞれ のノートのエラーを
チェックします。
<ERRORS> タグを含んでいるどのようなノートも、ノートファイルを解析する間に見つかったエラーとその全内容で
置き換えられます。
全てのノートファイルの全てのエラーを見るためには、<ERRORS> タグのある一つのノートが必要です。
悪いフォーマットのタグや存在しないファイルや曲へリンクしているデッドリンクを含む、様々な種類の
エラーが報告されます。

知られている問題点

Notes フォルダへのリンクは作成することができません。
リストビュー(ファイルとフォルダのリスト)を表示している間、時々ハードドライブは回転が止まらなくなります。
曲のフィルタはアンドを含む事が出来ません。例えば、これらのリンクは動きません:
<A HREF="ipod:music?genre=country&western">ジャンルにリンク</A>
<A HREF="ipod:music?artist=hall&oates">アーティストにリンク</A>
HideAllTags 初期設定が true の時、いくつかの HTML コメントは正しく隠されません。